工場見学で知る「出来たてのおいしさにつながる製麺設計」

発見 48

前編では「鉄鍋を使う理由」をお伝えしましたが、後編では製麺工程におけるこだわりについて。「なぜそこまでやるの?」には、おいしさのために譲れない理由があるのです。

なぜ、小麦粉を自分たちで配合するのか?

麺料理のおいしさを語るうえでスープやだしの出来ばえは言うまでもなく重要ですが、実際に味わってくださった方からは「キンレイは麺もおいしい」という声をよくいただきます。
スープやだしに強いこだわりがあるからこそ、互いを引き立て合うような麺でなければ意味がありません。スープだけ、麺だけが際立つことなく、すべてが一体となり、全体としておいしく仕上がっていることが重要です。

そして、冷凍食品メーカーである以上、凍結→調理を経たときに最良の状態になっていること。家庭で味わうその瞬間に「お店で出てくる一杯のおいしさ」をお届けしたい──その一心で、小麦粉の配合から自社で行い、商品ごとに最適な麺をつくり出しています。

小麦粉は、品種や産地、挽き方などによって印象が大きく変わります。たとえ数%単位の違いであっても、スープとのなじみ方、食感、風味に影響します。そのため、粉の種類や配合比率からキンレイは決めているのです。

工場での製造というよりも、料理人が一杯を仕上げていく感覚に近いかもしれません。まず工場の工程に落とし込む前の開発段階で、スープの味わいを確認しながら、「この一杯には、どんな麺が合うか」を考え、条件をひとつひとつ詰めていく。そうした積み重ねの先にこそ、目指す一杯があると考えています。

こだわりは小麦粉だけじゃない!食塩やかん水も含めた麺設計

小麦粉の配合から自社で行うわけですから、それ以降の材料や工程についても「これが最良の選択」と確信できるものを研究し尽くします。

麺の材料は小麦粉と水を基本に、うどんには食塩、ラーメンにはかん水といった要素が加わります。小麦粉そのものへのこだわりを軸にしながら、全体として最適なバランスを設計していく必要があります。

たとえば食塩は、麺の弾力性や食感に多大な影響を与えます。それだけに、全商品に一律で同じ量を使用するわけにはいきません。中には味噌煮込みうどんやほうとうのように、中心部に程良い硬さが残る食感を目指し、あえて食塩を使わないものも。これは「専門店の煮溶け感と噛み応え」を追求した結果としての選択です。

ラーメンにおいてはかん水も重要です。かん水は中華麺特有の弾力、歯切れ、風味を生み出す要素であり、スープとの絡み方や口にしたときの印象に大きく影響します。小麦粉に合わせてかん水のバランスを細かく調整していくことも、欠かせないポイントなのです。
極力、小麦粉・塩・かんすいによって、素材の力を引き出した麺づくりに取り組んでいます。原材料表示を見ていただくとわかる通り、その内容は驚くほどシンプル。 余計なものを加えないという選択もまた、出来たてのおいしさを届けるための“キンレイの当たり前”なのです。

商品ごとに変える「切り刃」の役割

最後にご紹介するこだわりポイントは、麺の形状です。

麺の太さや断面の形は、味わいに大きく影響します。同じ配合でつくった麺であっても、形が違えば、スープの絡み方、口に入れた食感や喉ごし、煮込まれた後の変化など、食べるときの印象は別物になります。
角の立った断面か、丸みのある断面か。表面積がどのくらいあるか。ちぢれがあるかどうか。こうした麺の形状を決めるのが、麺帯(生地を薄く伸ばし、一本の帯のような状態)をカットする際に使う「切り刃」です。

完成形から逆算して麺を設計するという考え方に立つと、切り刃は単なる「切るための道具」ではありません。家庭で温めたとき、どんな状態で食べてもらいたいのか。そのために、どんな形状がふさわしいのか。そうした判断が、切り刃の選択に反映されます。
既存の切り刃で狙った仕上がりに近づくなら、それを使います。けれど、より良い品質を目指すために切り刃そのものを独自に設計することもあります。
たとえば鍋焼うどんの場合、専門店でつくられるときの「煮込まれることで角が取れ、だしを含んだ状態」を基準にしました。鍋の中で起こるはずの変化を前提として、家庭で火にかけた際に自然とその状態に近づくこと。そこを目指して、現在の切り刃にたどりついています。
一方、喜多方ラーメンでは、ちぢれ麺であることが欠かせない要素でした。本来のちぢれ麺は、麺をもむことでちぢれを出すため、太さも形も均一ではなく、不規則になります。その不規則さがあるからこそ、麺がスープをしっかりと持ち上げてくれます。この食感と絡み方にするためには、既存の切り刃では不十分でした。そこで、特殊な形状の切り刃を新たに開発し、製麺工程全体も細かく調整しながら、ようやく完成に至りました。

「麺がおいしい」という評価の背景には、こうした切り刃の設計も多分に含まれています。

すべての工程が「出来たてのおいしさ」につながる

製麺の工程全体については、すでに工場見学の記事でもご紹介しています。本記事では、その中でもとくに「小麦粉の選定」「食塩・かん水の調整」「切り刃の設計」という3つのポイントを掘り下げてきました。

一つひとつの工程が連動しながら、「家庭で鍋にかけたときに最もおいしくなるように」という一点に向かっています。
キンレイの麺を味わっていただくとき、工場で積み重ねられているさまざまな工程のことを、ほんの少し思い出していただけたら嬉しいです。

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