品質と生産効率の
バランサー。

発見 17

わずか数グラムの差が、おいしさを変えてしまう。品質と効率のはざまで、お客様の信頼に応え続ける生産部の挑戦。

キンレイ 生産部・戸祭

2018年に中途入社し、7年間ライン管理Gで勤務してます。Uターン転職でキンレイに入社しました北海道民です。筑波工場のある茨城県はラーメン激戦区で休日は友人とラーメン屋巡りをしています。おすすめのラーメン屋は府中(東京)にある陰日向のワンタンメン。1杯に極太の麺が5本しか入っていないという常識を覆すチャレンジをしているラーメンに既成概念に囚われない新しい形を感じました。

品質と効率の間で、おいしさを探る

生産部の業務は、キンレイのおいしさにどのように直結しているのでしょうか?

筑波工場の製造部門は製麺、調理、ライン管理の3つのグループで構成されています。私はその中のライン管理グループに所属し、麺を茹でる工程から茹でた麺を冷却・冷凍し、具材を盛付けて完成させ、パッケージ包装、段ボールへ梱包する工程までの一連の流れを管理しています。
最近では、飯田商店さんやカドヤ食堂さんのプレミアムライン商品開発で、麺の製造テストを通常の倍以上に増やして理想の品質を追究しました。開発チームが作ったレシピを工場で再現する際に、水分量や成分、温度管理など、わずか数グラムの違いで麺がくっついてしまうといった課題がありました。開発チームや生産技術チームとは何度も議論し、検証を繰り返しましたね。
工場の視点だけだと効率性を重視したくなりますが、「なぜ10分置くの?」と聞けば、旨み抽出など明確な理論的根拠がすべてにあり、現場も納得して工程の必要性を理解します。生産性を意識しながらも、最終的なクオリティを守るために、調理方法やおいしさの再現を優先する意思決定をしています。

部署の垣根を越えて、おいしさを支え合う文化

工場での製造は、多くの部署や人との連携が欠かせないと思います。どのようにチームワークを築いているのでしょうか?

筑波工場は職場の物理的な距離感が近く、他部署の様子が目に見えやすいんです。あそこが忙しそうだと見えれば、自然とカバーしにいく雰囲気があります。例えば、包装・梱包は製造の最終工程になるのですが、他の部門の人がよく手伝いに来てくれます。部署の垣根を越えて互いの状況を把握し、自然と協力し合う体制が根付いています。
また、キンレイには一点特化したスペシャリストではなく、全工程の理解を深めたジェネラリストのように、深さと広さを究めていくという文化があります。味を追究するためには、麺をつくる人はだしのことも理解しないといけない。各工程を理解してできるようになることが、他部署の改善点についても積極的に提案し合える、思いやりのあるコミュニケーションにつながっていると思います。

五ゲン主義が築いた、新しいラインと新しい信頼

工場での作業には、様々なトラブル対応や品質管理の重圧もあるかと思います。特に印象に残る挑戦のエピソードと、そこから得た学びを教えてください。

2020年に行ったアルミ調理麺を梱包する機械(アルミ調理麺ケーサー)の更新や、2021年に新たにコンビニエンスストアで扱われることになったレンジカップ商品(レンジで温めるカップ容器の商品)を製造するために行なった、新しい製造ライン構築への挑戦が印象的です。
旧式のアルミ調理麺ケーサーは生産トラブルが多く、担当者はつきっきりで作業する必要がありました。特に課題だったのは、製品のアルミ容器に傷をつけるリスクがあった、充填部という設備の重要な部分でした。このリスクを解消するため、私たちは設備メーカーと協力し、何度も検証を重ねて大幅な仕様変更を行いました。
お客様に安全・安心な商品を提供するという、食品メーカーとしての原理原則に従い、生産性の向上と製品の品質を担保するために、キンレイがリスクとして挙げたことを、梱包機の設備メーカーさんにも理解していただくために、現場で現物を見て話し合うことが重要でした 。まさに「五ゲン主義(現場・現物・現実・原理・原則)」の大切さを実感したプロジェクトですね。口頭だけでは伝わらないことも、実際に見て話すことで解消していきました。このような品質を守るための見えない努力が、お客様への安全・安心な商品提供につながっていると信じています。シフト勤務もある中で、情報共有の正確さも非常に重要で、メールでの引き継ぎなども、細かく分かりやすくすることを常に意識しています 。

生産部

食を通じて、人々の生活を豊かにしたい

キンレイのおいしさを追究する姿勢について、どのように感じていますか?

キンレイは他社より少し高い価格帯ですが、その値段に見合ったクオリティと、それを守る誇り高い姿勢に共感しています。大学では食肉について学んでいたので 、海外産の安価な商品には価格で勝てない中で、国産なりの付加価値を活かすことが重要だと感じていました。生活必需品である食を通じて、人々の生活を、目に見えて豊かにしていけることにやりがいを感じています。
キンレイの商品には、開発チームの工夫と、工場の誠実な技術と、部署を越えた連携が詰まっています。「専門店を超える専門店へ」という考えのもと、現場からもおいしさの理想に向けて挑戦を続けていきます。