お客さま視点で描く
「おいしさ」の設計図
発見 41
市場を読み、味の方向性を定め、パッケージまで設計する。その裏側にあるお客さま視点の仕事に迫ります。
キンレイ 営業本部企画部・宮井
商品の企画を担当しました。今回は、お店に無いメニューを作り上げることへの不安が大きかったですが、パッケージや味の方向性について開発・営業一丸となり、取り組みました。商品化にあたり、「お客様に支持いただくためには」という富田店主の考え方を深く学ばせていただきました。本店のイチ押しは、つけ麺の麺とスープそれぞれに卓上のぶどう山椒をかけて食べることと夏場限定の二ボコンです!
アイデアを商品にするまで
まず、企画部の具体的な仕事内容について教えてください
企画部の仕事は大きく分けて、自社ブランドの商品を企画し発売まで導く「企画チーム」と、発売後に商品の認知を広げて売上向上につなげる「PRチーム」の2つがあります。その中で、私は商品企画を担当しています。
商品企画がまず考えるのは「いま、どんな商品が求められているのか」です。中期計画や市場の動き、売れ行きのデータを確認しながら検討します。方向性が決まったら、ターゲットや商品コンセプトを整理し、販売目標を設定します。その内容を企画書にまとめ、開発部と味の方向性をすり合わせながら試作を重ねます。同時に、パッケージや販促物、営業部が商談で使う資料やカタログなどの制作も進めます。アイデアを具体的な商品に落とし込み、売り場に並ぶまでをつなぐことが、商品企画の役割です。

味の方向性を、言葉でそろえる
企画が決まった後、味づくりにはどう関わるのでしょうか?
試作そのものは開発部が担当しますが、その前段階である「どんな味を目指すのか」を整理する工程には、企画担当も深く関わります。大切にしているのは、関わるメンバー全員が同じイメージを持てる状態をつくることです。
熊本ラーメンや尾道ラーメンなどのご当地商品では、開発部とともに現地へ足を運びます。熊本ラーメンの場合は、ルーツとされる久留米ラーメンも含めて複数の店を巡り、味の特徴や違いを確かめました。
それは単なる食べ比べではなく「どこに特徴があるのか」「なぜこの味が支持されているのか」を整理していきます。
香りや油の使い方、麺や具材の特徴、後味などを細かく整理することで「どこが大切か」「ここは工夫できそうだ」といった共通認識が生まれていきます。このように味の方向性を言葉にすることで、開発部とのやり取りも具体的になります。専門店のおいしさを、そのままではなく、キンレイの商品としてどう表現するか。そこを考え抜く工程です。
開発と並走しながら、考え続ける
開発部との連携で、特に意識していることは何ですか?
開発部は味づくりの専門家なので、企画部が常に意識しているのは「お客さまにどう伝わるか」という視点です。どれだけこだわって作っても、その良さが伝わらなければ商品として成立しません。味の設計についても、開発部と意見を交わしながら、「作り手が追究するこだわり」が「お客さまにとっての魅力」として真っ直ぐに届くような着地点を探っていきます。
熊本ラーメンでは、焦がしニンニクとマー油の両方を取り入れる設計にたどり着きました。監修いただいたラーメンデータバンクの大崎さんからは、「現地にはない独自の発想で、熊本ラーメンらしさがしっかり表現されている」という嬉しい評価をいただきました。専門店の文脈を踏まえつつ、工場生産という条件の中でどう表現するか。その工夫に、キンレイらしさがあると感じています。
パッケージで、最初の印象をつくる
味の次に、企画部が重要視していることは何ですか?
パッケージです。店頭でお客様が最初に目にするのは、商品名と写真、そしてキャッチコピーです。限られたスペースの中で、何を伝えるか、何をあえて削るか。その優先順位を決めることも企画部の役割です。作り手としては、こだわりをすべて伝えたい。しかし、お客さまが店頭で知りたい情報は必ずしも同じではありません。その間を行き来しながら、「こだわりが誤解なく伝わる表現」を探します。
尾道ラーメンでは、尾道の街並みや市旗に使われる赤を基調にしました。あっさりした醤油スープに背脂の旨味が重なる特徴を、写真とコピーで直感的に伝えています。瀬戸内産煮干しの使用など、素材情報の見せ方や順番も慎重に整理しました。味の本質を損なわず、手に取ってもらえる表現を探ること。それも商品企画の重要な仕事です。

反応が返ってくることが、次につながる
この仕事でやりがいを感じる瞬間を教えてください。
担当した商品について反応をもらえたときです。家族や友人から「買ったよ」と言われたり、SNSでお客さまのリアルな反応を目にしたり、お客様相談室にお声が寄せられたりすると、ようやく形になったと実感します。企画や開発の意図が伝わり「おいしかった」という声が届く。その瞬間のために、この仕事があるのだと思っています。

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