がっかりさせない、
という当たり前。

発見 19

マイナスをゼロにするという、ある意味当たり前とも言える品質保証部の裏側にある、お客様への深い想い。

キンレイ 品質保証部・永廣
キンレイに中途入社後、品質保証部にて、ご指摘対応、原材料不具合対応、監査業務、外部定書類作成など、全般的な業務に従事してきた。また、食品安全に関する部門横断型チームの事務局を担当し、全社的な活動の円滑化を図る。品質保証部では、食品安全規格、製造工程、法規制など、幅広い知識・見識が求められ、日々、業務を通して勉強中。
平日の昼食は、ほとんど自社製品を食べている。お気に入りは「お水がいらないラーメン横綱」と「かぼちゃのほうとう」。さまざまな冷凍野菜を試した料理を楽しんでいる。スーパーで気になる商品は、裏面表示チェックも欠かさない。
おいしさ体験を守る「精神的危害」という視点
品質保証部というと、安全性を追究する部署というイメージが強いですが、キンレイのおいしさにどのように直結しているのでしょうか?
品質保証部の仕事は、お客様からのご指摘対応、原材料の不具合対応、自社工場や取引先工場の監査、食品安全チーム(食品安全の仕組みを構築する部門横断型のチーム)の事務局運営など多岐にわたります。社長直轄の独立部署として迅速な課題解決を担っています。
もちろん食品安全を担保することが大前提ですが、キンレイが独自に重視している「精神的危害」という概念があります。通常の食品安全では、物理的危害・生物学的危害・化学的危害という3つを考えますが、私たちはこれに加えて「精神的危害」も分析しています。これは例えば、具材が載るはずの商品に具材が入っていなかったり、調理した時にうまくできなかったりしてお客様を「がっかり」させてしまうことも「危害」と捉えるような考え方です。お客様の期待を裏切ることは、おいしさという体験を損なうと考えています。
具体的な解決例としては、商品に使用されている牛肉由来の除去対象外のスジが、『輪ゴム』と誤認されるご指摘がありました。ご指摘傾向を分析すると、カレーうどん、かつ、特定部位の牛肉を使用した商品で発生率が高いことから、輪ゴムの太さに似たスジが、カレースープで黄色く染まることで、お客様のお手元で『輪ゴム』と誤認される恐れが考えられました。その後、関連部門と検討・協議を経て、牛肉の部位を変更することで誤認されるリスクを軽減し、改善した事例があります。
その他不具合についても、生産・開発・購買関連部門、原材料メーカー様などと連携し、日々、改善に努めることで、結果的にお客様のおいしさの体験に繋がると考えています。
進化し続ける「ものづくりマニュアル」
その「精神的危害」を含め、キンレイの「おいしさ」を保証する仕組みはどのように築かれているのでしょうか?
キンレイでは、全社的な食品安全の仕組みを運営する「食品安全委員会」があります。部門横断的に製造工程、品質管理、設計開発などの専門知識を持つメンバーで構成され、そこで上がった議論が、私たちのものづくりの根幹となる「ものづくりマニュアル」に反映されます。
この「ものづくりマニュアル」は、食品安全だけではなく、環境や当社独自の要求事項を盛り込んだ、国内でも最高峰レベルのマニュアルだと自負しています。食品安全に関する目標を年度で立て、その進捗を共有・協議したり、営業がお客様から受けた要求事項を仕組みに落とし込んだりすることなどで、常にアップデートされています。この徹底されたマニュアルこそが、キンレイのおいしさが揺るがない根拠になっています。

見えない努力の最前線で起きていること
品質保証部の仕事は、問題がないのが当たり前だと伺いました。その中で、特に印象に残るエピソードを教えてください。
はい、問題がないのが当たり前なので、スポットが当たりづらい側面はあるかもしれませんね。以前、ある原材料が起因で異物が混入する事例がありました。生産段階で発見され、すぐに上司から原因究明の指示が出て、翌日には飛行機に乗り、原材料を製造する工場へ向かい、緊急監査を3日間実施しました。結局、製造起因ではなく、一次原料由来の持ち込みと結論づけ、次回生産時には対策が講じられた原料が納入されるよう対策を講じました。
例えば、製品から同じ異物が複数個発見されると、拡散性の問題も出てくるため、即座に対応します。後手後手になると被害が拡大するので、感情を乗せる暇もないほど素早く事実を整理し、対策を講じることに努めます。
この仕事は「マイナスをゼロにする」ことがメインです。お客様が製品を食べて異常がないのは当たり前ですが、その当たり前を担保することこそが、私たちの使命だと考えています。
おいしさを支えるのは、当事者の視点
キンレイのおいしさへのこだわりや社風について、どのように感じていますか?
キンレイは食品安全の仕組みについて、本当に真摯に取り組んでいる会社だと感じます。私から見ても、これほどすごいボリュームで、細かいところまで考えられた仕組みを持っている企業は少ないと思います。キンレイの好きなところは、食品安全だけでなく、さまざまなことに対して真摯に、正面から取り組む社風があることです。例えば、締め切り直前まで粘り強く検証している姿は、あらゆる場面でよく目にします。
最近、若手社員が増え、会社全体のポテンシャルが広がっています。若い世代にも、仕事をする上で最も大切にしている「当事者として、物事を誰よりも深く考えて、理解・行動すること」を伝えていきたいですね。現場に行ってはじめて本質が見えることも多く、それが仕事の重みにもなります。
キンレイの製品は、おいしさをお届けする以前に、お客様に「安全・安心」と「がっかりさせない」ことを最も重要視しています。私たちはそのために日々、見えないところで細部にまでこだわり、仕組みを改善し続けています。どうぞ安心して味わってください。