ラーメンデータバンクと
紐解くトレンド10 <後編>
発見 30
ラーメン食べ歩き歴50年以上の大崎裕史さんに語っていただく、ラーメンにまつわる10のこと。後編は、キンレイ企画部門・若生のコメントも交えながら、さらに深掘りしていきます。
ラーメンデータバンク 取締役会長・大崎裕史さん
日本ラーメン協会発起人の一人。月に50~70杯、これまでに食べたラーメンは3万杯超。8歳で食べ歩きを始め、47都道府県のご当地ラーメンを制覇。現在は二周目に突入中。「ラーメン文化の伝道師」として、テレビや雑誌のほか講演・審査員など幅広く活動。
キンレイ企画部門・若生
入社以来、キンレイひと筋で商品開発や技術研究を担当。麺やだしのおいしさにつながる研究開発だけでなく、産学連携で冷凍技術の研究などにも関わってきた。商品や工場の取材対応をする中で、キンレイのものづくりに対するこだわりを紹介するようになったのがきっかけで、現在は企画部門でPR関連を担当している。
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煮干し系は今、どうなってる?
大崎
東京から世界に広がるかも!?
煮干し系は関東でブームが続いていますが、全国で見るとまだ賛否がわかれるところ。他社の監修品を手がけた際、かなり煮干しを効かせた商品を全国発売したところ、西日本からクレームが殺到しまして(笑)。西には「いりこ文化」があるのに、煮干しの濃厚な香りは受け入れられなかったんです。
味としての完成度は素晴らしかったと今でも思っていますが(笑)、マーケティングの難しさを痛感しました。
若生
「ニボニボ系」と呼ばれる濃厚な煮干しラーメンは私もよく食べていました。その中で忘れられないのは、富山の「貪瞋癡(とんじんち)」です。煮干しなのに澄んだスープというのが衝撃でした。
当時、キンレイでも煮干しの研究をしていまして。産地やサイズ、炊き出し方の検討などをする中で、頭や身、内臓といった部位ごとの味わいの違いを試したりもしました。そんなときに出会った貪瞋癡のスープは「澄んだ煮干しラーメン」の究極でしたね。
大崎
東京では、ミシュランガイド掲載店の中にも煮干しを使うラーメンが増えています。少しずつ海外でも注目され始めていて、だし文化として世界に広がっていく可能性も感じますよ。

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麺の形状はどう変化してきた?
大崎
ご当地は製麺屋さんの文化でもある
麺の形にも流行があります。つけ麺ブームのときには極太麺の文化が生まれましたし、そこから「太麺をラーメンに入れたらどうなる?」と発想が広がっていきました。
地域で見ると、喜多方のような手もみ風太縮れ麺、博多の極細麺など、土地ごとに特徴があります。面白いのは、ご当地ラーメンの個性を支えてきたのは製麺屋さんだということ。昔はひとつの製麺所で作れる麺の種類は限られていましたから。だから、ご当地の特徴=製麺屋さんの文化でもあるんです。
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今、注目の「麺のかたち」は?
大崎
手もみ風の縮れ麺!
東京では今、もち小麦を使った手もみ風の太縮れ麺が増えています。茹でる前にしっかり揉むことで、独特の食感と存在感が出ます。自家製麺の店が始め、いくつかの製麺屋さんが追従しています。いずれはキンレイさんでもどうですか?
若生
手揉みの工程が実現可能かどうかはともかく(笑)、縮れ麺は確かに面白いですよね。モチモチした太めの縮れ麺は関西でも増えてきています。喜多方のご当地ラーメンに挑戦した際には、あの縮れを出すために専用の切り刃を開発したんです。機械で押し出しながら縮れを作る、そういう原始的ともいえる製法が、結果的に手作り感につながるというか、味わいを生みますよね。

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今、注目しているエリアは?
大崎
食べ歩きが面白い鹿児島・大阪
ご当地って、尾道、喜多方、博多など基本的に都市単位。これを県単位で見たときに面白いのは、鹿児島県です。九州の豚骨ラーメンは全体的に久留米の影響が色濃くて、豚骨だけのスープが主流ですが、鹿児島だけは鶏が混ざった「鶏とんこつ」。鹿児島は醤油が甘いのもあり、個性的な味わいです。地域自体が活性化していて若い店主が新店を続々オープンさせているので、食べ歩きをする町として要注目ですね。
食べ歩くには、大阪も面白いですよ。うどん文化が根強いので、30年前にはラーメン店の話題はほとんどなかったのに、現在はかなりの激戦区。いわゆるご当地ラーメンは存在せず、いろんなタイプがあるのも特徴です。大阪ラーメン文化の流れを作ったきっかけのひとつは、キンレイさんも商品化されているカドヤ食堂ですが、それ以降、新しいタイプがどんどん登場して、それこそ毎年行っても追いつかないくらいです。
若生
キンレイも今回「お水がいらない」シリーズのプレミアムラインとして、カドヤ食堂ワンタンめんを商品化させていただきました。同じ関西圏では、これまでにラーメン横綱、塩元帥ラーメン、天下一品なども展開してきましたが、それぞれスープのベースや味わいがまったく異なり、どれも個性的な魅力を持っています。
カドヤ食堂さんのワンタンめんは、繊細ながらも奥深い醤油スープと、絶妙ななめらかさと食感の、まさに雲を呑むようなワンタンが特徴です。まるでお店で味わうような一杯を、ご家庭でも手軽に楽しんでいただけるよう、細部までこだわって仕上げました。
大崎
ご当地になかなか足を運べない方にも、ぜひおいしく召し上がっていただきたいですよね。

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